あおり運転などの危険運転

昨今のテレビというか、ネタが枯渇しているからか、あおり運転や逆走といった危険運転が報道されることが増えた。

まぁ「昔はこんな運転する奴は、いなかった」わけではないと思う。
でも昔(MT車全盛の頃)の車は、加減速の際、適宜ギアチェンジする必要があったので、結果的にギアに適した速度で走行する必要もある。
つまり車両性能だけでなく、運転操作そのものにテクニックを要したわけで。そんな中で他人の車を煽るなんていう、面倒な行為への考えは至らなかったのではないかと思う。
しかも今のような安全性能も担保されていない車で、危険運転で事故を起こしでもしたら、死なないにしても、脚や腕の1本は持っていかれる危険すらある。

それに比べると現在の車は、加減速の自由度が高くなり、結果的に個々人の運転に対する自由度つまり余裕も増した。
そこに、ゲームやマンガ的なフィクションの世界に感化されたののか、自己中心的な運転をする人も増えた。

いずれにせよ「時代の流れ」ではあるのは仕方ないが、結果的に極めて自己中心的で稚拙、かつ、運転免許を所持するには向いていない思考を持つ方々が運転されることが増えてしまった。

対策

ただ幸いな事に、技術の進歩もあって、自衛策についても選択肢も増えた。
あおり運転に巻き込まれないようにするためのテクニックを持つことも大事だが、まずは、あおり運転に不運にも巻き込まれてしまった場合の事を考えて、対策と行動を考えてみた。

ドラレコなどの記録をする

あおり運転の検挙向上のためには、これが必須。
防犯にも有用だが、煽られた時、違反行為の証拠物件となる。これが一番大きな要素。

ただし安価なドラレコ製品もあり、そのような製品だと、ナンバーが不鮮明だったり、時間が正しく記録できない、記録時間が短い、すぐ壊れるなどの問題もある。車種に併せて最適な製品を搭載するのが良いと思う。

即110番。

特に最近(ここ数年以内に)購入したスマホの場合、GPS を使って、警察側から通報者の位置情報を取得することが可能になっている機種が多い。

なので、安全な場所に停車したうえで、スマホから即110番通報すること。

同乗者がいる場合は、同乗者に通報してもらうほうが良い。
逆に、運転しながら直接通話することは、可能なかぎり避けるべき。運転しながらの通話については、それこそ交通違反に問われる可能性もある。
そして何よりも、気が動転してしまっている状況下で、運転しながらの通話は危険極まりない。

また停車の際、あおり運転した者が近くにいる場合は、絶対にドアをロックし、ウインドウを閉めること。
とにかく警察に介入して貰うことが大事。

警察に通報した以上、自身への聴取には素直に従うこと

自身に非がない以上、聴取を受けて困ることはない。
時間や手間を取られる可能性は高いが、検挙するためには、録画データ(証拠資料)の提出など、警察への協力が必要になる。

必要であれば、報道機関やネット上で公開する

社会問題になっている昨今、報道番組やネット上で話題になることで、警察が動く可能性もある。

もちろん検挙前の状況なので、あおり運転した者であってもプライバシーなどの配慮は必要だが、被害者としての選択できる手段としてはあり。

免許取消への道

ここからは、あおり運転を働いた者への話。

警察の捜査の結果、対象者を「危険性帯有者」として警察が認定した時点で、最長180日間の免許停止になる可能性がある。

昨今あおり運転が社会問題化した関係で、警察においても「危険性帯有者」の場合、違反点数の累積は関係なく、いわゆる「一発免停」とすることが可能になった。

ちなみに一般的な免停の場合「出頭要請通知書」「意見の聴取通知書」などが送付されてきて、通知に応じて指定場所(警察署や免許センターなど)に出頭することになる。

しかしこれは基本的に「行政処分」上の話。

交通関係取締は特殊で「行政処分」による判断と「刑事処分」による判断の2種類が存在する。

いわゆる駐車違反やスピード違反などで、巷で取り締まられる場合は「行政処分」のみの取締がほとんど。

ところが交通違反を常習的に行っている場合や人身事故などの重大事故、重大な違反行為等については「行政処分」だけでなく「刑事処分」も併せて取り締まられることになる。
要するに「違反」だけでなく、「犯罪行為」としても取り締まりの対象となる。

そして、あおり運転行為などで「危険性帯有者」と判断された場合も、これに当て嵌められ、実際に行われた行為に対して「妨害運転罪」としての「刑事処分」について、並行して調べられる。
そして「刑事処分が相当」と判断された場合、犯罪行為として取り締まることになる。
この場合は、おそらく別途警察署から出頭要請、もしくは捜査員が自宅などに直接お迎えに来ることになるのではいかと。

そうなった場合、あとは刑事処分に基づいた流れになる。
内容によって大きく異なるので、一概には言えないが、逮捕拘留、送検、取調べ、裁判、刑事罰(罰金・懲役等)といった流れに繋がっていくのではないかと。

そして「妨害運転罪」として認定された場合、場合によっては「免許取消」の可能性もある。

免許停止(免停)と免許取消(免取)その違い

「免許停止」は、指定の期間内、免許の効果が停止されること。
こちらは指定の期間が経過すれば、免許を効果が復活する。

対して「免許取消」は、免許そのものが無効になる。
この場合、免許が再度欲しい場合は、再取得のため、教習所に通ったり試験・講習などを受ける必要がある。

しかも免許取消の場合は「欠格期間」が定められ、その期間内は取得すること自体が、そもそもできない。

以下、参考

無免許運転

一発で「行政処分」「刑事処分」の対象となる。
つまり、免許取消と罰金または懲役のセットである。
刑事処分が問われるレベルの嫌疑なので、逮捕や拘留の可能性だってある。

ちなみに無免許運転が成立する条件は、以下の通り。

  • 免許を最初から持たない者が運転。(純無免)
  • 免許停止中の者が運転。(停止中無免)
    (しかも、免許停止⇒免許取消になる。)
  • 免許取消となった者が運転。(取消無免)
  • 免許で与えられている資格外の車両を運転。(免許外無免)
    (大型免許じゃないのに大型車を運転した場合など)

そして「危険性帯有者」「妨害運転罪」などで免停・免取となった者が無免許運転なぞすれば、逮捕・拘留は確実ではないかと。

処分保留や不起訴処分

「妨害運転罪」に問われたとしても、処分保留や不起訴処分は、可能性としてはあるかもしれない。

ただし捜査対象となった前歴は、確実に警察・検察等に残ることになる。
それの意味する事は、よく考えたほうがいい。

免許再取得と一発試験

免許を再取得する際は、再度教習所に通って、その過程で免許を取得する方法と、試験場での「一発試験」の2種類がある。

そして免許取消後の再取得で「再度、教習所通いはしたくない」という人も一定数いると思う。
そういう人が「一発試験」を選択することがあるそうで。

今は文字通りの「一発試験」ではない

制度改正され、以前よりも手間がかかるようになった。
箇条書きすると、以下の通り。

  • 仮免合格のための練習や勉強
  • 仮免学科試験(免許センター)
  • 仮免技能試験(免許センター)
  • 本免路上練習(5日以上必須、指導者の記録必須)
  • 本免学科試験(免許センター)
  • 本免技能試験(免許センター)
  • 取得時講習(免許センターまたは委託先教習所等)

通常の「一発試験」の流れは上記だが、免許取消者の場合、これとは別に以下を、本免試験までに受講する必要がある。

  • 取消処分者講習

取消処分者講習とは

取消処分者が免許を再取得したい人のために行う講習で、都道府県によっては、民間の教習所等に委託されて行われている場合もある。

取消処分者講習は開催頻度が高くないため、受講するまでの予約が大変な場合があるが、受講内容自体は、あくまで修了することが目的。

無論、遅刻早退や不遜な態度、講習の妨害などの行為を行えば、受講そのものが取消になったり、業務妨害として取締の対象になることはあると思う。

受講内容の結果(カウンセリングをはじめとした受講状況や適正検査の結果、感想文の内容等)については、免許センター(再教習を受けている場合は教習所)にフィードバックされる。
そのため、技能試験(卒業検定)の際に参考資料として取り扱われている可能性は否定できない。

【参考】停止処分者講習

こちらは、成績(優、良、可、不可)による考慮があり、「可」以上の成績に応じて、免停期間が短縮される可能性がある。

本免の技能試験は、れっきとした警察官が試験管

そして最大の難関が、本免技能試験。
これがとにかく難しい。

当然「危険性帯有者」「妨害運転罪」の者が、一発試験に来れば、その素性は知られた状態です。
当然ながら「合格させたくない」のが本音のはず。

もちろん試験は公正に行われるとは思う。
だが試験管も人間。
当然ながら試験管に認められる範囲・裁量でチェックされる。
結果として、通常よりも合格はかなり狭き門になる。

その点は覚悟が必要。
教習所に通う以上の時間がかかる可能性だって、あり得る。

免停・免取時の免許証

免許停止中の免許

違反をした場合、基本的に警察署から「運転免許行政処分出頭通知書」が対象者に届く。
そして指定された場所(警察署など)に免許証を持参して出頭し、聴取・手続の過程で免許証を預けることになる。

そして免停期間が終了した時点で、預けた場所に行けば返還されることになる。

免許取消の免許

免停と同じく、出頭の際に免許証を持参し、聴取・手続の過程で免許証を預けることになる。

そして、その後の審査の結果「取消処分書」が発行され、預けた免許証はそのまま没収となる、という流れが一般的ではないかと。

もちろん出頭要請に応じなかったり、出頭の際に免許証を持参しなければ、免許証没収には繋がらない(できない)。
しかしながら、併せて警察官の心証も当然悪くなる。結果的に警察官が直接お宅に訪問してきたり、逮捕・拘留のリスクが高くなる。

それに免許証がなくても、事実が揃っているのであれば、当事者が意見聴取に応じなくても、司法上は違反行為は成立する。
その結果として「取消処分書」は発行されることになる。

そもそも取消になった免許証を所持することは、それを悪用する恐れもある。
そして警察(公安委員会)自らが発行した免許証を、取消になったにも拘わらず、そのまま放置するのは看過できない。
そう考えると警察側の道理も、かなっている。

最後に

運転免許は「試験に合格すれば貰える特典」ではない

誤解してはいけないのだが、試験に合格するのは当たり前であり、かつ運転するに値することが許された者だけが所持することができる「免状」であるという点。

だからこそ定期的に審査され、必要に応じて運転行為を確認し、問題があれば免状の行使を制限されたり、没収される可能性もある物であると考えるべき。

自衛も必要だし、社会に適宜訴える必要が違反行為・犯罪

警察も人員に限りがあり、一市民が通報したところで、取り締まりに動くことはかなり少ない。
まぁ訴えたところで「様子を見にくる」程度。
この程度で、危険な運転を常習的に行っているような輩が、何とかなるわけがない。

それに「危険性帯有者」の判断や「妨害運転罪」は、現実的には被害を訴えなくては成立困難なので、ドラレコなどでの記録など、密に自衛する必要がある。