- 大東、地デジ来年度開始/国・県方針 ケーブル敷設決定(沖縄タイムス)
- 県、需要量調査へ 南北大東への光ケーブル敷設(琉球新報)
沖縄本島の約 360km 西方には、南大東島・北大東島があります。
交通は、沖縄本島からプロペラ機で1時間ちょい。ちなみに島の滑走路は距離が短いため、ジェット機は就航できません。
船も就航していますが、こちらも沖縄本島から 13 時間かかる。
岩礁に囲まれている島なので、ビーチはありません。
そのため、リゾート地としてもあまり発展していないというのが実情。
金融機関は「ゆうちょ銀行(郵便局)」「JAバンク(JAおきなわ)」。いずれも店舗込みで、それ以外金融機関は、ATM すらありません。
島民人口が約2千人である事を考えると、まぁ…ね。
ラジオ放送は、通信衛星を経由して沖縄本島の AM 局が送信されています。しかも島内ではすべて FM 波。
まぁミニ FM 局を想定してみればわかり易いと思います。
通信衛星そのものの費用は高額ですが、それ以外の部分は、比較的安くできることは想像できるかと。
それとテレビ放送、こちらも通信衛星を使用する事になるのですが、沖縄県内の地上波放送を通信衛星で新設するのは予算的に厳しいかったようです。
まぁ、テレビ放送は映像も送信する関係で、音声だけよりもかなり高額な機材が必要になのではないかと。
しかも通信衛星を使用する場合、他地域などで盗聴・流出するのを防止するため、独自のスクランブルやデジタル圧縮などを行う必要がある。これもコストがかかる理由の1つ。
これら理由で、現在は東京の小笠原向けの通信衛星経由放送を流用して東京キー局の地上波のうち、しかも沖縄県内で視聴可能なテレビ局系列のものだけを島の中継局を経由して送信しています。
だから、大東島ではNHKとTBS、フジ、テレ朝のみ視聴可能。(日テレ、テレ東、MXは視聴不可能)
でも、いずれも通信衛星を使用しているため、大雨などの際は受信障害が起きやすいとの事。
ちょっと技術的な余談。沖縄本島から大東島をカバーするだけの電波塔を建てることはできません。多分東京タワーよりもはるかにデカい放送塔が必要になるんじゃないかな。放送出力も相当な物が必要でないかと。
なお BS 放送は別。パラボラが普通に視聴できるそうな。(まぁ、パラボラも大きめなのが必要そうだが…)
ちなみに電話回線も通信衛星経由。大東島内は電話線で結ばれているものの、沖縄本島や本州方面とは、島の中継局から通信衛星経由で繋がることになる。なので、フレッツ光とかそういうものは現在存在しない。
まぁ、なんでこんな事になっているかというと、沖縄本島と大東島の間には「琉球海溝」という水深 4000 メートルクラスの海溝があり、これが有線(光ケーブル)が敷設できない理由。
まぁ、敷設できないわけではないですが、費用が膨大になる。
でもこれが最近、小笠原諸島の場合、東京都と国でカネを出して敷設することが決まったので、放送面での格差が埋まる目処が立った。
でもって、残されたのが沖縄県に属する大東島。
大東島は小笠原諸島と異なり、敷設地域周辺に人の住む島はないため、純粋に大東島だけのために敷設する必要がある。かと言って、小笠原諸島からケーブルを敷設するよりは沖縄から敷設する方がはるかに短いのは明らか。
でもまぁ、その費用が初期投資 30 億、年間維持費2億4千万。。。(沖縄県の当初試算)
島民2千人と+α 効果のためだけに、この費用は確かに高額なのは理解できる。
そしてこの問題について最終的に国と折半が決まったようで、ようやく設置に目処が立ったようです。
個人的に地域差によるデジタル・ディバイドが緩和されるのは、歓迎すべきと考えているし、そのために国の税金、牽いては我々の税金が使われることにはあまり抵抗はない。
特に情報化社会となった昨今、国が無駄な「箱物」を作るのよりは効果も大きいと思うし。むしろ日本の領域として主張するのであれば、こういった離島の港をより大々的に整備するとかして、島としての価値をより高くするために効果的な「箱物」を作っていくことができればよいのではないかと思う。
地域住民からしてみれば、情報を仕入れるための媒体を確保できるという意義は大きいと思うし、通信回線が確保されたことによって、逆に情報を発信する手段を確保する事も可能になる。
あとは地域に根付いたプロモーションがさえできれば、通信ケーブルを牽いただけの効果を確保できるのではないかとさえ思う。
まぁ、個人的に仕事柄その地域にデジタル・ディバイドがなければ、その地域にも気軽に旅行してみたいとも思ってたり。