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熱交換器内蔵型のポータブルクーラーは、風向き・騒音・排水・猛暑時に課題あり。

この記事は、2023年購入時の製品「アイリスオーヤマ ポータブルクーラー 4.5~7畳 airwill IPA-2223G」を元にした記事です。

こちらの品、市場在庫のみで既に終売されているようですが、アイリスオーヤマの室内型クーラーは、年毎に機能改善された後継モデルが販売されていることがあり、型番や形状から、後継であることが類推できたりもします。

そのため、後継機にも同様の問題があることが予想できるため、その点を読み取って貰えればと思い、記事にしています。

仕事部屋が納戸に移転した関係で、ポータブルクーラーを購入した。ポータブルクーラーを選択した理由は、以下の5点。

  • 我が家は賃貸契約の関係、家に穴を空けることができない。
  • PC機材&長時間作業するため「氷で冷やす」タイプは、性能麺や氷を都度追加する煩雑さを考えると、選択不可。
  • ルーバー窓がある。
  • 熱交換器型の乾燥機を所有しており、熱交換器の性能を知っている。ちゃんと、よく冷えることが期待できる。
  • 冬はエアコン不要。PCの廃熱&机下のパネルヒーターで十分イケる。

ちなみに築年数を考えると、家主と交渉して、室外機用の配管穴を開け(勿論ちゃんとしたダクト穴に加工する前提)、普通のエアコンを取り付けても良かったのかもと思ったが、家主との交渉や電源の増設とか、色々と面倒なのでやめた。

だが、それがベストだったことに今さら気付いてしまった。
なのでこのポータブルクーラーが壊れたら、ダイキンのエアコンを設置しようかと、今は思ってる。

性能面では、ほぼ問題ない

機器本体は、社長とタレント(高齢)がテレビで紹介する、某○グループとか、通販会社などでよく採り上げられている「氷を利用した簡易的な熱交換」ではなく、エアコンと同じ構造の「熱交換器」内蔵。
室内に複数のデスクトップPCがあるとはいえ、4畳弱の納戸であれば、エアコンとしての機能は問題なく発揮している。問題なく寒いぐらいに室内を冷やすこと自体は可能。

では何が問題か?

問題点1:風向きの問題

まぁこれは、この機器独特の問題なのかも知れないが、実はこの機器、室内吸気は機器正面から見て左側の側面部にメッシュ状の穴が空いていて、そこから吸気している。

しかも冷排気は正面上部のように見えるが、実際は「正面および左側に冷風が向く」ようなセッティングになっている。

ちなみに正面にあるルーバーは、水平〜上方向にしか向かない。
そして、その中(奥)には横向きのルーバーがあるのだが、そちらは左側固定となっている。

我が家の納戸の場合、窓や機器設置場所の位置関係で正面右側に執務席や機材があり、左側は壁なので、その壁を常に冷やしている感じ。

ポータブルクーラーそのものを横向きに設置する事も勿論考えたが、機器後ろ側にある廃熱ダクトが長くなる・ルーバー窓を全体的に塞ぐ形の設置になってしまうなど、デッドスペースがかなり大きくなるため、不採用。

これだと流石に室内の冷熱循環がとても悪いし、電気代も勿体ないので、別途サーキュレータを設置して効率アップ。

問題点2:廃熱ダクトの取り回し

窓に廃熱ダクトを設置する必要があるのだが、このダクトが直径15センチほどあり、狭い部屋では、これが意外と邪魔になる。

当方の納戸は、腰高の位置にルーバー窓があるため、ポータブルクーラーを床面に設置した場合、廃熱ダクトの長さは1メートル以上にもなる。

そしてこの廃熱ダクト、文字通り「廃熱」するため、ダクト自体も熱くなり、それが「熱源」にもなってしまう。

そのため我が家の場合、ルーバー窓の前に机を設置し、その上にポータブルクーラーを設置。廃熱ダクトが極力短くなるように工夫している。

もちろん机上にポータブルクーラーを設置することによって、床面設置よりも不安定になることから、転倒防止用のチェーンなどの配慮もした。

問題点3:排水

熱交換式クーラーは、構造的に排水(ドレン水)の問題がどうしても発生してしまう。

この「極太ダクトを接続するような一体型エアコン」の場合、内部に一定量排水を溜める「トレイ」があって、そこに廃熱をあてて、発生した水蒸気を極太ダクトから廃熱とともに出すという構造にはなってはいるのだが、正直「焼け石に水」の構造ではある。

湿度が高い日本で、このような構造はほとんど役に立たず、ダクトからの水蒸気排水の処理よりもドレン水の流入が上回る。
そのため、あっと言う間にトレイの排水が満タンになって、安全装置により停止してしまう。

そのため「常時排水」の手段が必要になり、機能的にも排水が可能な構造にはなっているのだが、これが意外と面倒。
取扱説明書には排水口に付属のホースを繋いでバケツなどで受けて排水しろとは書いてあるの、排水口は(中栓はあるものの)ネジ式のキャップで留めてあるだけで、止水栓などが装備されているわけではない。
そのためキャップを外してホースを繋ぐまでの間、雑巾を床下に敷くなど上手く工夫しないと、床面が水浸しになってしまう。

かと言って常時バケツに水を溜める方式にしても良いのだけれども、バケツに溜まる水も意外と半端ないため、適度にバケツの水を捨てなくてはならないのも、かなり面倒。

そのため、ここにも工夫が必要で、我が家の場合は排水ダクト近くのルーバー窓から排水することにした。
ちなみに我が家のルーバー窓には、内窓構造の「網戸」があるため、網に穴を開ける必要が生じたが、「排水の手間を考えると、致し方なし」という事で、穴開け。。

ルーバー窓(というか窓枠下部のフレームやレール部分)をよく見ると、「穴」や「切り欠き」が施されている。これは結露など、万が一フレームに水が溜まらないようにするための構造で、我が家の場合はこれを利用して、排水する形にした。

ただし、この「穴」や「切り欠き」は、あくまで「窓枠としての機能」であり、ドレン水用の設備ではない。そのため、構造などについては十分注意と確認が必要だし、あくまで自己責任という事で。

特に排水されたドレン水が適切に屋外まで排水されているかは、ちゃんと確認した方がよい。
建物の施工不良や経年劣化などで外壁の内側に排水してしまう可能性は、十分あり得るの話。

問題点4:騒音

これも熱交換式のエアコンの構造上、仕方ないのだが、結構うるさい。
通常のエアコンだと「室外機」が騒音源と主たる部分ではあるので、室内はそこまで騒音とはならない。
しかし一体型の場合、当然ながら構造上「室内機+室外機」となってしまうので、騒音源が室内に入り込んでしまう。

まぁ、本機の推奨されているような大きめの部屋の端っこ設置し、その対面端で生活するような空間であれば問題ないのかも知れないけれど、我が家の納戸は当然そのような広さでも、レイアウトでもないので、この騒音と共存するしかない。

とはいえそのままだと耳がやられてしまう可能性もあるため、自分はヘッドホンをして納戸で作業をしている。

問題点5:共振? ひずみ音?

しかももう一つ別の問題として、機器本体の機械的な振動が、機器の外装を共振させ、それが新たなノイズになっていることが判明。
指で外装を押さえてみるとノイズは収まるものの、指を離すとノイズ発生。

我が家の場合、(見た目はかなり不格好ではあるものの)5センチ厚の化学繊維でできた防音シートを吸排気する部位を避けた状態で、ベルトで巻き付ける事で対策した。

これはこの機種独特というか、もしかしたが同じ機種でも固有の問題なのかも知れない。

それにもしかしたら、設置する部位や方法によっては、この事象は起きないのかもしれないのだが、性能上「これが仕様」となると、正直、いただけない。

そんな感じで、家庭用で製造されている熱交換一体型ポータブルエアコンの使用感からの問題点一覧はこんな感じ。

個人的にこのタイプは、工場とか広い場所でのスポットクーラーとして生産されるのが現状メリットが高いと思う。

問題点6:猛暑では能力不足

まぁ通常のエアコンに比べれば、所詮「小型」ではあるので、猛暑日だと、どうしても能力不足は否めない。
木造2階建(断熱もヨワい安普請の建物)の2階、北東側にある4畳弱の納戸部屋なんだけども、天井や隣室押し入れ内、外壁部が暑くなる。

曇った日でも、30℃前後を超えてくると、冷房温度を下げないと効果が出にくくなりはじめる。
そしてガンガンの晴れ日や、昨今の「猛暑日」とされている35℃を超えてくると、明らかに能力不足。しかも建物自体「壁」から直接伝わる熱も相まって、明らかに暑い。

空気の循環を考えてサーキュレータと扇風機を1台ずつ稼働させているので、なんとか作業はできるものの、暑いものは暑い。

まとめ

結論、機能面としては問題ないけど、共存するのは「かなり、人を選ぶ」のではないかと思う。

昨今生活家電というのは「便利になる」「快適になる」ことが前提であっても、今回のような「トレードオフ」になるような問題点がある家電は、万人に正直受け容れられにくいのではないかと思う。
特に今回の場合、少なくとも、「ドレン排水」「極太廃熱ダクト」「騒音」このうち2つは解消されないと、生活家電としてはかなり手間のかかる部類ではないかと。

それほどに今回はポータブルクーラーの欠点を思い知る結果であった。

捕捉:エアコンを選ぶとき

あくまで個人的な意見です。

エアコンを買うときは、今までの経験から、以下の点に気を配ってます。

マルチエアコン(「室内機複数台&室外機1台」のタイプ)は避ける

昨今の省エネ事情やコストパフォーマンスを考えると、室外機1台タイプも考えたりしますが、室外機が故障したり、冷媒ガス漏れが発生した場合、すべてのエアコンが使えなくなります。

とはいえエアコンの故障は「室内機」が圧倒的に多いと思いますので、リスク考慮でしかないのですが、室外機本体と、室内・室外を結ぶ配管系の故障は「一蓮托生」なので、それをどう考えるか次第。

故障は初期不良や、経験・能力不足な業者による施工不良もあるけれど、多そうなのは、室内機故障の場合、「清掃不足」によるものや、高稼働など、おもに「使用者側の知識・配慮不足」が原因の故障が多そう。

対して室外機の故障では、塩害の生じやすい海岸付近での利用や、過酷な気象条件に晒される場所や換気の悪い場所での故障ではないかと。
夜間早朝など、定期的に霧が発生しやすい地域だと、結露も発生しやすくなる。エアコンが効きにくくなったったり、それが原因で故障もする。

ちなみに故障しても、修理はすぐに来てくれません。
たとえ来たとしても、部品交換の必要な故障となると、何週間も待つことになります。

あと、季節の境目とか、パソコンを多用されている家「あるある」なんですが、室外機が1台だと、部屋別で「冷房」「暖房」を併用することができません。

ビルトインエアコンは避ける

メンテナンス性や故障時を考えると、ビルトイン型は、おすすめできない。

お金持ちの皆さんは、景観とかを意識してエアコンを隠したくなる気持ちは判るのですが、故障すると修理代(技術料)が嵩む。
町中の業者では、対応できない場合もあったりするのではないかと。

建物設計の段階からタワマンのような「メンテナンス性にも配慮ビルトインエアコンの設置を考慮した建物」であれば話は別だが、一般的な「戸建て」の場合、無理矢理ビルトインエアコンを設置するような設計や構造になっていることが、結構ある。
そうなってくると、(たとえメーカー推奨の設置基準を満たしていたとしても)設置上のムリが祟って故障に繋がる可能性は否めない。

しかもビルトインエアコンは、本体を室内中央部天井に設置するため、壁面設置型のエアコンに比べ、配管が長くなる。
そのため、通常よりも能力の高い室外機が必要になったりする(=初期コストが高くなる)場合もあるのではないかと。

それにエアコンの普段の清掃・メンテナンスにしても、天井にあるものと、壁面設置型に比べると、明らかに大変さが違う。

高級タワマンとかに住まう人には、関係のない話ではあるかもですが、庶民が背伸びしてビルトインエアコンをチョイスするのは悪手ではないかと思う次第。

多機能型・高機能型は避ける

昨今、エアコンのフィルター掃除を自動でやってくれたり、「ドライにしても温度は下げない」といった、多機能・高機能なエアコンが増えている。

まぁ家電(というか商品)に付加価値を追加されるという流れは、市場原理に即しているとは思うのだけど、当然ながら構造が複雑になるので、故障するリスクも高い。

特にフィルター自動清掃タイプは「一切の清掃・メンテナンスが不要になる」わけでない。商品も高くなるだけなので、普通のエアコンを購入するのが無難。

海外メーカー製は避ける

エアコンは故障時に修理に来てもらう必要性の高い家電なので、そういったアフターフォローが、ほぼ皆無な海外メーカー製の購入は避けるべき。

まぁ販売店が、そういった時の交換を考慮した「延長保証」など販売店独自の保証制度を設けている場合があるけれど、保証制度で解決できるのは「おカネ」のみ。
修理・交換に発生する手続きや手間はかかるし、保証される費用を販売店(保証会社)に請求する手続きや手間も生じる。これがとにかく面倒。
この部分が、とにかく誤解しやすい。

「海外メーカー製すべてが悪い」とは言わないが、国内メーカーにくらべると、品質やアフターフォローなど、信頼性は段違い。

とはいえ、昨今は国内メーカーであっても、海外OEMを日本で組み立てただけのような製品や、ほぼ代理店販売みたいな製品も多いし、海外製造の国内メーカー品もある。
まぁグローバル社会なので、仕方ないのではあるけれど。

今回の小型エアコンは大手メーカーではないけれど、設置型エアコンの場合、我が家は現状、ダイキン一択。

昔はナショナル(現パナソニック)製をおもに使っていたけど、多機能・高機能化路線に舵を切ったうえ、いわゆる「パナソニックのお店」で直せる製品も減ってきて、いわゆる「お付き合い」も疎遠になってきた。

以前のダイキン家庭用エアコンは、室外機の騒音が他社製に比べてあったけど、現在はそんなこともなく。

安定的に単純構造のエアコンを、長寿命(低故障)・高メンテナンス性・アフターフォロー万全に提供してくれるメーカーが好まれるのは、当たり前の話。

エアコンの室外機、冬場は凍結することがある

少し古い記事ですが、良記事なので。

そもそもエアコンは、室外機で室内と屋外の温度差を熱交換して冷やしたり暖めたりするので、そもそも気温差のない状態では熱交換の効率が悪くなるため、冷えにくくなります。

そして「冷えにくいから」と言ってエアコンを強くしたり、長時間運転すると、今度は室外機本体や廃熱フィンなどが温度差によって結露し、これが結氷に繋がりエアコンの効きが悪くなったりします。

この室外機の結露⇒結氷による「効かない」トラブル、冬場は特になりやすく、暖房運転・雨天・高湿・などでも発生します。

でもって対策ですが、正直あまりオススメな手段はないです。
例えば、室外機を大型なものにしたり、業務用にすれば、低能力で稼働するようになるため、これらのトラブルは減少しますが、高額です。

室外機にお湯をかけるのは、結氷を溶かす効果が一時的にありますが、気温・天候次第で今度はかけたお湯が冷めて、そのまま結氷するし、そもそもお湯との温度差が金属の膨張収縮を促すことになり、場合によっては故障や低寿命に繋がります。

結局のところ、窓を開けて外気を直接取り込むのが一番良いと思います。